unknown episode森重樹一×高蝶智樹(Loud Style Design)


普段の、ロックンローラーではない、「音楽家としての森重樹一」「詩人としての森重樹一」という側面を引きだした今号の特集についての、誌面には載らなかった撮影エピソードを、一挙公開!


 ---森重さんとは、知リ合ってもう10年以上経ちますよね。

森重:12年とか。SNAKE HIP SHAKESの最後の頃が最初のきっかけだったと思うから。高蝶がシルバー界のシーンにキラ星のごとくデビューした頃だよね。本人に会う前に雑誌とかで見て知っていた感じだもんね。

---出会った当時もお話しましたが、今、自分が創っているシルバーを誰に着けてほしい?って当時のスタッフから聞かれて、「森重さんじゃない」ってなったんですよ。それで確か事務所に直接連絡したんですよね。

森重:そうそう。

---そこからですから、随分と経ちましたね。

森重:当時はそういう、シルバーのドメスブランドのハシリみたいな感じで、アフタークロムハーツ、みたいな、ドメスティックの人たちも模索している感覚があった中で、名前だけが先走っているようなところもあったけど、高蝶の場合は本人のスタンスも含め、作品として見れるところがあったかもしれないね。

---当時、シルバーをやっている側からしたら、メディアで、海外のブランドは出られても、日本のブランドは大して出られない様なジレンマがあって、そういうのをまず変えないと好きなことがやれないんだなっていうのがありました。俺は今回、森重さんの写真を自分が撮るっていうのは初めてで、最初と同じ気持ちになったんです。「カメラマンとして、ディレクターとして。今、誰を撮りたいか?『森重樹一』だな」って。シルバーを誰につけて欲しいかって思った時の初心的な部分がすごくあったんですよね。でもどうやって撮るのかっていう時に「モードな感じで」ってざっくり説明はしたけど、俺の中では撮影で、どう撮るのかをバラしたくなかった。あまり用意して来て欲しくなかったんです。俺としては「音楽家としての森重樹一」「詩人としての森重樹一」という感覚が強かったんです。昔の詩人、例えばアルチュール・ランボーだとか,19世紀頃の音楽家のイメージって、すごく洒落てるじゃないですか。そういう雰囲気を出したいと思ったんですよ。いつも、「ロックンローラーの森重樹一」っていうのは沢山撮られてるし、森重さんも慣れてますよね。そうじゃなくて音楽家として、洒落てて、かっこよくて、毅然としてるんだけども、完全にモードな雰囲気でも貴族的でもなくて、どこか崩している、どこかツッパっていて、というところを上手く出せたら、と思ったんですよね。

森重:いいねえ。その感覚を今、撮影後に高蝶から聞いて、とても合点が行くっていうか。要は俺も高蝶も数多いる表現者の人たちって、みんな扱うモノもキャリアもバックボーンも違うけど、自分が生きていることを刻印していくっていう意味では皆一緒だって思うんだよね。俺ね、初めて高蝶と会ったときに、シルバー製作はワックスを使うっていうセオリーがあるけど、「自分はシルバーのカタマリを削り出す」って話を聞いた時、そのシンプルさに、もの凄く共感したんだよね。俺はギターを弾いて歌が歌えて、まだ幸いなことにステージにあがることができるから、今、心が自由でいられることが俺にとっては

何をもらうより素敵な事なわけだよ。自分がやりたいって思うことを、例えば、この前は教会で歌わせてもらってね。今日はこの・・・悪の城(REFUSE)に来てさ、天使の顔と悪魔の顔を使い分けさせてもらってさ、どっちも自分だと思ってるし、自分が自由に行ったり来たりできる、森重樹一として。こんな自由はないよ。こうして再会して、カメラマンの視点から高蝶にね、一アーティストとして向き合わせてもらえるっていうのも。人と向き合うときに面白い人じゃないと、俺すぐそっぽ向いちゃうからさ。そうじゃない人とでも、仕事しても、そこそこのモノは提供できるだろうけど、高蝶がイメージしている、奥行や美学、それは高蝶が俺のバックボーンも知っててくれるから、理解があった上で呈示してくれるだろうっていうところから新鮮な驚きもあったしね。

---森重さんをずっと見ていて、俺の持っていた森重さんに対するイメージっていうのは知り合ってからも変わらないっていうか。やっぱり、この人は来たもの、起こったこと自体に対してそれを心のどこかで、どう楽しんでいこうか、どう表現していこうかっていうのを、ずっとやってきてる人なんだろうな、というイメージが、変わらないですね。それを見ていて楽しいし森重さんの歌を聴いていて気持ちよくなれる、そういうところなんだろうなと。この前もソロのアルバムも聴かせて頂いて、今回は、こういうところを摑まえてこういう風な出し方をしたんだなって、そういう感覚で聴いちゃうというか、ファンだったときから、勝手に、この人は多分こういうことを思ってやってくれてるんだろうな、って思います。色々なアーティストの方とお会いしてアーティストのイメージと実際の個人と、皆さんそれぞれですけどね。作品と個人が100%一緒なわけじゃないじゃないですか。

森重:そうね。そこはむしろ離れているべきだと思うしね。

----作品は手元を離れたときは、自分の作品ではないですから。

森重:高蝶の創った作品はね、身に着けた人に装着してもらって、はじめて完成する感じだもんな。それによって初めてその作品が本当の意味での命を持つんだろうしね。

---森重さんの曲を聴いていると、一所に留まって作ってるんじゃなくて、この人の歌って、旅をしてるんだよなっていう感覚がすごくするんですよね。ツアーでいろんなところを廻って色んな土地にいってキャリアも違う、人生っていう長い旅を紆余曲折してきたから、そういう感覚がするんだろうなって俺はいつも思ってるんですよ。

 

森重:素敵なことだよな。俺の旅が決して世界一周の豪華客船の旅じゃないかもしれないにせよ、自分の旅はとても素敵だと思う、だって自分にしかできない旅だしね。皆が持てるものだもんな。その旅を自分が楽しもうと思えば、もしかしたらヒッチハイクも楽しいのかもしれないしさ。それを楽しむ、受け入れる、今、そういう気持ちになれてることはとても幸福だよな。